投資家列伝

カルロス・スリム(Carlos Slim Helu)

世界一の富豪 「中南米の通信王」

カルロス・スリムは2007年、2010年とMicrosoftのビル・ゲイツ、投資家のウォーレン・バフェットを抜いてフォーブスの世界長者番付で世界一の資産家とされている人物であり、535億ドル(2010年)の資産を持っているとされる人物である。

彼はどのようにして、こうした巨額の資産を形成したのであろうか?

カルロス・スリムは1940年、メキシコシティに6人兄弟の末子として生まれ、メキシコ国立自治大学で工学を学んだ。彼の父親は14歳で単身でメキシコへ来たレバノン出身の移民であったが、衣料雑貨店を営み、ダウンタウンの不動産を取得する経営者であり、カルロス・スリムが26歳の時には、すでに4000万ドルもの資産を持っていたとされる。

彼はその資産を元手にして企業買収と経営を繰り返すことによって、資産を拡大した。
まず、メキシコの国営電話会社であるテルメックス社を公開入札により買収し、その後、中南米でナンバーワンのアメリカン・モバイルも取得し、「通信王」と称されるようになった。また、世界でもっとも有名なメディアの一つであるニューヨークタイムスが不況で経営難となった時に株式を取得し、現在は筆頭株主となっている。
また、メキシコの巨大金融コングロマリットを建設しており、多種多様な多くの企業を傘下に収めている。
そのほかにも、フィリップモリス社の取締役を務めたり、また、1997年にアップル社がiMacシリーズを発売する前に3%の株式を取得したことがあるなど多くの企業に関与している。

このようにカルロスは多くの企業に影響力を持ち、世界一の資産家として認識され得るようになったが、一方でビル・ゲイツと比較され、資産の割に十分な慈善事業をしていないと批判されることも多い。
このためか、巨大メディアを所有するにも関わらず、メディアへ露出することをあまり好まず、彼に対する批判に対して 「他人の意見を生きがいととしたとき、あなたは死んでいるも同然である。」 「私は、私がどう記憶されるかについて考えながら生きたくはない。」と述べている。

また、彼は「私にとっては、何の意味もないことだよ。世界一でも、20番目でも、2000番目でも、そんなのどうでもいいんだ。」「家族との生活や自分の時間と仕事とを両立することの方が、豊かになることよりも重要なのだ。」とも述べており、2008年にはHONDA F1の買収に興味を示すなど、まさに「王」として、アメリカの大富豪とは異なった旧来の富豪のイメージで人生を謳歌すると思われる人物と言えよう。

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