著名投資家の知恵

「再帰性理論」 PAGE8/12

from Conference Speach Delivered April 26, 1994 by George Soros
to the MIT Department of Economics World Economy Laboratory Conference Washington, D.C.

これらのすべてのケースで、関係者バイアスはこの事実誤認にかかわりました。
企業統合と不動産投資会社がブームとなったケースでは、まるで1株あたりの収益における成長が、資産の影響から独立しているかのようには扱われました。
そして、国際的な貸し出しブームの場合では、まるでそれが銀行の融資活動から独立しているかのように負債比率は扱われました。

しかし、他のケースでは、そのような事実誤認に関わらない場合があります。
例えば、自由に変動している通貨市場では、国のインフレ率が関連します。
つまり、為替レートの変化がなどが、いわゆる為替レートの変化そのものによってささえられている原理に影響する能力を持っています。

それはつまり、理論上の均衡からのどんな逸脱でもそれ自体を有効にする能力があるということです。

この自己バイアスによる力はトレンドがさらに進むといった考え方を推し進めます。
そして、トレンドがさらに進むといった思惑は理論上の均衡であるかどうかに関わらず均衡からの逸脱を発生させます。

循環論法は完全です。

結果は自由に変動している通貨市場というのは過度の変動を起こす傾向があり、そしてトレンドがさらに進むという思惑が、正当化される傾向があるということです。

私は、これらの例が「再帰性理論」を証明するために十分であると信じています。
それは単に出来事を調べる異なった方法ではありません。どの出来事が起きるかは、別のことです。
あらゆる場合に起こるとはかぎりませんが、変化するときには状況の特性が変化します。
ある種の理論上の均衡に向かったトレンドの代わりに、関係者の視点と実際の形勢はある方向への考えと現実の両方を動かして、初めは互いに自己に補強するかもしれませんが、結局、維持不可能になって、必ず逆方向に移動を生み出すダイナミックな不均衡のプロセスを始めます。
最終結果は関係者の視点も実際の形勢もそれが始まった状態に戻らないということです。

再帰性の現象というものを、いったん隔離し認識すると、さまざまな状況において、それがあるということを観察することができます。
私が特に当時、関連しているThe Alchemy of Finance でそのような状況の1つを研究したので、本に記述しました。
私は、それを「レーガンの帝国の円」と呼びました。
それは借入金で海外と特に日本から大規模な兵器プログラムを融資するのから成りました。
私は、最初プロセス自己に補強されていましたが、必ず維持不可能になりそうであるのを示しました。
同様の状況は最近、ドイツ統一で起こりました。(それは、結局、ヨーロッパ為替相場メカニズムの故障につながりました)。
ドイツ統一がダイナミックな不均衡を作成する前にERMはおよそ10年間の間、近い均衡条件で作動しました。

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