投資家列伝

ジョン・ポールソン(John Paulson)

サブプライムの下落に賭け、ウォール街市場最高の年収を得た男

ジョン・ポールソンは、1955年、ニューヨークに生まれました。彼は生粋のニューヨークっ子であり、ニューヨーク大学で財政の勉強を行い、その後、ハーバードのMBAを取得することになります。
そして、ベアスターンズ証券(元全米4位の投資銀行・サブプライムで危機に陥り、JPモルガンに買収される)、オデッセイ・パートナーズ(ヘッジファンド)で投資銀行業務につきます。1994年には独立を果たし、自身の名を冠したヘッジファンドPaulson&Co.を立ち上げます。

2005年頃、まだ景気低迷が始まる前に、彼は、この好景気がバブルであるということに気づき、住宅関連債務のインデックス(ABX index)にショートポジションを取りはじめました。
そして、2007〜2008年に、サブプライムローンの債務不履行が社会的問題になってくると、さらにそのサブプライム関連商品の下落に賭けることで、ジョン・ポールソンのヘッジファンド「Credit Opportunities fund」は、2007年に+約600%、2008年にも+25%という驚異的な成績を収めることになります。

こうした驚異的な成績に対して、彼が得た報酬は、2007年の1年間で、なんと37億ドル(約4000億円!!)にもなり、高額報酬が常識だったウォール街の中でも、歴史を塗り替える出来事となりました。これにより、2008年のForbes400(アメリカ人 トップ400の大金持ちを紹介している)で、78位にランクインし、45億ドルの資産があるとされています。

さらに、2009年、彼は元FRB議長、グリーンスパン博士を彼のファンドへ迎えることに成功しました。
彼が多くの利益を出せたのは、グリーンスパン元FRB議長が、低く金利を抑えていた(という間違えた政策を取り続けた)からではないのか?といった批判もありますが、ポールソン氏はグリーンスパン博士を高く評価しており、「経済の方向性を予想し、アメリカ経済不況の可能性や深刻さを分析することは、現在の投資戦略をまとめるにあたって根本的なことだ。」そして、「グリーンスパン博士のFRB議長としての18年間は、複数の市場サイクルを通じて、我々の投資運用チームが重大な決断を下す手助けとなる、独特な視点を彼に与えている。」と言っています。

このように、ファンドの拡大とさらなる利益を追求する一方、「住宅問題は人々に痛みを与えているので、ポールソン氏はお祝いをする気になれないのだ」「多くの住宅保有者が犠牲になったのだから」発言しています。また、”思いやりの心を示すため”に、1500万ドルを差し押さえに直面している住宅保有者を助ける団体に寄付も行いました。(資産の3%程度の寄付ですが。。。)

ポールソンに対する世間の評価はまだ固まっていません。

彼は、慈善家の仮面をかぶった禿鷹なのか?
ただのラッキーパンチなのか?
それとも現実の経済に対して鋭い直観力を持った本物の投資家なのか?

彼は、金融危機のきっかけを作った悪役となるのか?それとも、分不相応な借金をして家を購入した人々の未来を正しく予想しただけなのか?

それらは、今後のポールソンの運用成績と立ち振る舞いによって示されるでしょう。

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